【フィンランド紀行文】〜出国編〜JALのお姉さん、ありがとう。
「もう、本当に間に合わないかも知れない。」
フィンランド行きのチケットを握り締め、刻一刻と迫るフライトの時間に冷や汗をかきながら、私はまだ福岡空港にいた。羽田近辺が突如ゲリラ豪雨に見舞われ、17時15分発羽田行の便が遅延している。
出国予定日の2日前、今回の旅程に少し難があることに気づいた。旅行代理店のお姉さんに「5万円分安くなるから」と言われ、羽田-成田間をバスで移動してヘルシンキに向かうことにしたのだが、その移動からフライトまでの時間が非常にタイトになっていた。すぐに代理店に電話したところ、「絶対に大丈夫です!」と押し切られ、飛行機を使った旅行に疎い私は、まんまと信じ込み、結果大変な事態に襲われた。ちなみに、後に判明したことだが、遅延していなくてもJALのお姉さんの助け無しではフライトに間に合わないかもしれない旅程だったのだ!
「旅行のプロがなぜこんな旅程を組むんだ!」という怒りと、過信していた自分に腹が立つと同時に、焦りと悲しみの空気でこの旅はスタートした。
「成田からヘルシンキに向かう便に間に合わないかもしれません、別の便に乗ることはできませんか。」
「申し訳ありませんが、天候での遅延ですので、お待ちいただくしかありません。」
17時15分発の便は18時発まで遅延しており、本当に間に合うかどうか。モニターの前で立ち尽くしていた私にJALのお姉さんが駆け寄ってきた。
「羽田空港の職員に、荷物をなるべく早く出してもらうよう伝えています。」
18時発羽田行の便に乗り込み、羽田空港に降り立つことができたのが、20時15分。(久々の飛行機は全く楽しめなかった!)成田空港に向かう最終のバスは20時25分発。預け荷物を受け取るターンテーブルは、荷物を吐き出すことなく虚しく回り続けている。
参考にした旅ブログにはこう書かれていた。
“荷物が出てくるまで30分くらいかかることがある”
そんな記事を思い出しながら、ターンテーブルの最初のところにある、ひらひらしているカーテンのようなものを呆然と見つめていた。
ガタン!という音とともに、私の荷物は上級会員を差し置いて、1番最初に吐き出された!
私の荷物には、プライオリティパスが付けられていた。
俊敏な動きで荷物をターンテーブルから引っ張り上げ、福岡空港のお姉さんの配慮に心の中で感謝を述べながら(後にお礼のメールをした!)成田空港行のバスの停留所まで走った。ぎりぎりで乗り込み、ようやく一息つくことができた。
このバスに乗れたならもう大丈夫という気持ちから、辺りを見渡す余裕もでき、微かに見えるディズニーランドにもウキウキしながら、1時間半かけて成田空港に向かい、無事にヘルシンキ行のフィンエアーに乗ることができたのだった。