サウナ紀行文集

サウナが好きすぎる男のサウナ紀行文

【大分県】Rebuild Sauna(リビルドサウナ)

サウナの旅人 (@sauna_no) / Twitter

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 もうどれほど登って来ただろうか。

 

 ぬかるんだ山道の脇には、青く透き通っている川が流れ、軽自動車ほどの岩や、倒木が幾つもあった。

 

 民家や商店、今は見ない形のバスもあった。それらは一貫して、すでに本来の役目を終えていた。

 

 人の気配なんてものは、とうの昔に失われていた。寂しさすらそこには無く、すでに世界から忘れられている。今は、留まる場所ではなく、ただ通過するための場所として何とか存在意義を保っている。

 

 しかし、通過するにも険しすぎた。

 

 山道は、体が細菌の侵入を拒むかのように、数々の試練を与えて、私を疲弊させた。

 

 それでも進んだ。この山の守り人が住むオアシスを求めて。

Rebuild Sauna

廃材で作られているとは思えない!

 険しい山道に突如現れる、LAMP豊後大野のRebuild Sauna(リビルドサウナ)である。

 

 「ここまで到達した者だけを歓迎しよう。」

 

 大分県で唯一温泉の出ない街、豊後大野市にある秘境のサウナだ。廃材で作られたサウナ小屋から上がる、薪ストーブの煙は、見るだけで長時間のドライブの疲れを癒してくれた。また、宿舎やレストランとして使われている建物は、元々学校だったようだ。ここにも、失われたかつての生活を感じさせるものがあった。

 

LAMP豊後大野

宿泊も可能らしい!

 沢から水を引いた天然水のプール、薪ストーブの優しい熱と蒸気、目の前に広がる、強く、厳しく、それでいて美しい自然。

 

 「また来よう。」

 

 その価値が、このサウナにはある。

 

 サウナを楽しんだ後、猪肉の料理を食べた。ピリッとした辛い味付けが癖になりそうだ。

 

猪肉の麻婆炒めとカボスのサイダー

 (レビューでホスピタリティ◎と見ていたが、まさにその通りだった!缶バッチやTシャツをゲットするほど好きな施設になった!)

 

 帰りも同じ道を通って山を下った。やはり、民家や商店、今は見ない形のバスは、一貫して、すでに役目を終えていた。川は逆流することなく、サイダーのような水を下流へ流していた。軽自動車ほどの岩も、倒木もちゃんとそこにあった。

 

 今のそれぞれの役目を果たしながら。

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【フィンランド紀行文】〜フィンランドサウナ編〜Rajaportin Sauna(ラヤポルティンサウナ)

サウナの旅人 (@sauna_no) / Twitter

 

 地元の老人の1人が言った。

 

 「お前はどこから来た?日本?ナンデヤネン!モウカリマッカ?」

 

 「何で日本語を知ってるかって?ここには毎日日本人が来るからだよ。フランス人もアメリカ人も毎日来る。そして俺は毎日ここにいる。もう何十年もな!」

 

 Rajaportin Sauna(ラヤポルティンサウナ)はフィンランドに現存する最古の公衆サウナである。最古と言われるだけあって、シャワーすらない。しかし、巨大なストーブと大量のストーンから発せられる熱と蒸気は、今もなお人々を魅了し、世界各国からこのサウナを求めた旅行客が後を絶たない。

 

Rajaportin Sauna(ラヤポルティンサウナ)

 サウナは、地元の老人が3人、フランス人が2人、そして私だった。よく晴れた午後であった。

 

 ラヤポルティンサウナの蒸気は、他のどのサウナとも違っていた。何物にも形容し難い、爽やかさがあった。間違いなく世界最高のサウナだ。

 

サウナには最古の風格があった。

 サウナは一つのコミュニティであった。言語の壁がある私も、あたたかく迎えてくれた。

私は英語もわからないため、ほとんど彼らの話が理解できなかった。それでも、彼らと話すのは楽しかった。

 

 フランス人の1人が、帰り際にマグカップをくれた。ラヤポルティンサウナのイラストが描かれたものだ。彼は一生懸命私に何かを伝えていたが、彼が言っていることはほとんどわからなかった。

 

 別れ際に一緒に写真を撮った。フランス人は照れくさそうにしていたが、野心的で、生命力溢れる目をしていた。

 

 タンペレは1日で見るには奥が深すぎる街だった。次はタンペレに泊まってみよう。もう少しこの街のことがわかるはず。

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【フィンランド紀行文】〜フィンランドサウナ編〜Saunaravintola Kuuma(サウナラヴィントラ クーマ)

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 VRで1時間半かけて私が向かっているのは、サウナ首都タンペレである。 途中、VRから見える白樺の森が雨に濡れて美しく輝いていた。

車窓から見えた白樺の森

タンペレ

 その中でもタンペレを東西に分割するタンメルコスキ川は、雄大で力強く、それでいて汚かったが、私の熱った身体を優しく迎え入れてくれた。

 

 私は、一際モダンなサウナ、Saunaravintola Kuuma(サウナラヴィントラ クーマ)にいる。

 

Saunaravintola Kuuma

 クーマサウナは薪サウナとスモークサウナの2種類のサウナが楽しめる。

 

 私は川から上がり、木製のブランコに腰を下ろし、少しだけ漕いでみた。北欧の夏の終わりを告げる少し冷たい風が、熱った身体を冷ました。

 旅も折り返し。オレンジ味のロンケロを飲みながら、この旅の前半の記憶を振り返っていた。

 

 「勇気を出して、来てよかった。」

 

 人生一度きり、行きたいと思った場所には思い切って行ってみよう。やりたいことはとことんやってみよう。仕事が、学校が忙しいことを言い訳にしてはいないか?本当にそれでいいのか?

 

 ブランコの縁にはシンプルに、こう刻まれていた。

 

 「ENJOY LIFE」

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